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 糖尿病  メタボリックな疾患その3


皆さんお元気でしょうか。コロナなかなか変わりませんね。いつまでも続いて本当につらいですね。
さて、最近、患者さんからこんなことをよく聞かれるようになりました。
【新型ウイルスは併存疾患があると重症化するので怖いが、自分自身の状態は併存疾患というのだろうか?併存疾患としてどの程度コロナに弱いのだろうか。】
大変難しい質問だと思います。疾患名は上げることはできても、明確なライン引きは困難だろうと考えます。ただし、慢性閉塞性呼吸障害(COPD)のようにそもそもターゲットになる肺が弱い方や、糖尿病のように免疫機能に障害が出る疾患は要注意だと思います。

ガイドライン的には、高血圧や心疾患なども挙げられています。いずれも今まで以上にしっかりとコントロールしていく必要があるように思います。皆さんも気を抜かずに病気のコントロールを私たちと一緒に頑張りましょう。

さて、うえにも話が上がってきた糖尿病のことに関して今日はお話ししようと思います。

一般に内科の病気は、症状が出る前に検査で指摘だれることが多く、患者さん自身は実感がないものです。メタボリック関連で例外はあのものすごくいたい痛風発作ぐらいでしょうか、自覚できるのは。
症状が出ない分、治療する気持ちにもなりにくいのは当たり前だと思います。

それに対して、私たちは疾患の恐ろしさを知っておりますので何とか治療していただきたい。そして、ついつい、ほっといたらえらいことになるという論調で治療を誘導しがちですが、そこはぐっとこらえてできるだけ時間をかけてお話しするようにしています。

たとえば、あなたが糖尿病であるとしましょう。検診で血糖が高いとか、ヘモグロビンA1Cが高いなど言われて病院に相談に来ています。何年も前から言われているんだけど、ちょっと年齢も上がってきたのでさすがにちょっと診察に来てみた なんて方も結構おられます。

お話を伺って検査を再度行い確認してから治療へと向かうのですが、血圧でもなんでもそうなんですけど、メタボリックの患者さんは基本生活指導が治療のベースですので、程度が軽い場合は食事指導や運動療法のみでまず様子を見ていただきます。

少し生活指導のことをお話ししましょう。どんな治療をおこなうばあいでも基本となりますのでよく読んでくださいね。

食事指導と申しましても、当院には管理栄養士はおりませんので、私がいつもお勧めしているのは簡単栄養管理法の、手計法(てばかりほう)です。
食事の内容をご飯、肉や魚などのたんぱく質、野菜という風に分けて、一食分の目分量を図っていくやり方です。詳しくはネットで検索してみてください。あるいは、外来で私に尋ねてください。簡単でとても分かりやすい方法です。
この方法を使えば、精密な管理は無理ですが、一日1400から1600カロリー程度に食事のエネルギー量を抑えることができます。
体重管理として、だいたい体重1kg当たりの必要カロリー数は6000カロリーなので、例えば1か月で1kg体重を落としたいのであれば、一日当たり200カロリー減らしていけばいいことになります。おにぎり1個分程度のカロリーです。
外食中心に生活していますと、一日の摂取カロリーはあっという間に2000カロリーを超えてしまいます。
手計法で計算した量ですと、最初はおなかがすくかもしれませんが、簡単で誰でもできる食事管理法なので、薬剤治療が入らない患者さんはもちろんのこと、薬剤の治療と併用していく患者さんもぜひ利用していただきたいと思います。

運動療法は、私は補助的にとらえています。筋肉量を維持することで、運動をしていない静止時の基礎代謝を上げて、太りにくい体を作ることを目標としていただきたいです。
自分自身の経験で恐縮なのですが、開業前に1年間で13kgの減量を行いました。その時は食事管理と運動がとても良いバランスだったと思っています。食事の目安は手計法で行いました。運動はウォーキングを中心に行いました。以前のウォーキングに関するブログにも書きましたが、運動の目安は一日7000歩を超えないように設定しています。できるだけ毎日で。運動時間は40分程度までにしています。過剰なウォーキングは膝や足首、下肢の筋肉にダメージを与えるため、継続を旨とするのであれば、一か月の総歩行数は20万歩以内に収めたほうが良いといわれています。負荷をかけたい場合はインターバルトレーニングで早歩きをします。
そこまでしなくても、いまの生活の運動量に毎日プラス10分(+10という運動指標が厚労省から提案されています。一度ホームページを見てください)運動をすることで、ある程度筋肉量も担保されますので大変良いかと思います。
運動で体重のコントロールをするのを私はあまり勧めていません。ちなみにスポーツで体重を減らすためには週3回 毎回2時間以上のクロールでの水泳 レベルの運動が必要とされるということが分かっていますので、これを本気で実践するためには相当体を作りこんでいかないと難しいように感じます。
くれぐれもオーバーユース(使いすぎ、やりすぎ)にならないように気を付けてください。

さて、メタボに対する基本的な生活習慣改善の簡単な方針を示しました後は、いよいよ、疾患の薬剤による管理のお話に移りましょう。

糖尿病の管理の指標は血液検査が中心となっています。一つは血液中の糖の濃度である【血糖値】でもう一つが採血日からさかのぼって数日分の血糖値の平均を表す【HbA1c ヘモグロビンA1c】です。
こちらを適切に測定しながら薬剤のコントロールを行っていきます。

管理に関して極論を申し上げるとすれば
【低血糖を起こさない】
ということに尽きるのではないでしょうか。

以前のガイドラインでは正常領域での管理が推奨されていました。今も、若年者はそうですが、高齢者になると少し様相が変わってきました。

65歳以下のコントロールに関しては
HbA1cで考えると、血糖の正常化を目指す場合は6未満、合併症予防を目指すので7未満、強化治療ができない場合は8未満を目指すとされています。

高齢者の場合は
認知機能が正常または軽度で日常生活が自立できている場合はHbA1cが7未満
認知機能の障害上がって日常生活の自立ができていない場合は8未満
を目安とします。

インスリンやSU製剤(アマリールなど)を使用している場合は重症低血糖が起きる可能性があるので
認知機能と生活力が正常な場合は
65歳から75歳までは 6.5から7.5
75歳以上は 7から8
までにコントロールすること。
軽度の認知能力障害や軽度の生活障害がある場合は年齢を問わずに 7から8まで
重度の障害の場合は
年齢を問わずの 7.5から8.5
にコントロールすることが推奨されています。

このように、ずいぶんと幅のある、低血糖を避けるコントロール法が推奨される理由はただ一つ、低血糖による心血管障害が生命の予後を悪くすることが分かったからです。

このことを踏まえて、糖尿病の治療薬の選択を私は以下のように考えています。

1) メトホルミンを中心に据えた治療を行う
2) SU製剤(アマリールなど)を極力使わない
3) インスリン導入をためらわない

1の事項に関しては、まず、安価であること。それから、高血糖状態による体内でのインスリン利用の低下(糖毒性)を改善することが大きな魅力となります。ただし腎不全、アルコール依存症、心、肝、肺機能異常患者には乳酸アシドーシスに注意して使用する必要があります。メトホルミンはシックデイといって、食事がとれない体調不良時には休薬する必要があることは注意を要します。

2の事項に関しては、SU製剤が低血糖を引き起こしやすく、また、他の薬剤と併用する場合に特にそれが顕著になるということに注意が必要です。SU製剤は強力に自己のインスリンを誘導するため、適応には慎重を要すると考えています。たとえば著しい高血糖でしかも入院はしたくないし、インスリン投与は絶対いやだという場合などに用いればよいと思います。また、使用する場合にはできるだけ少ない分量にとどめるのが、低血糖を防ぐために良い方法です。
まだまだ、たくさんのSU剤をお使いになっている患者さんがおられますので、患者さんとじっくり話し合いながら、他の薬剤と入れ替えながら減量を図っていくのがよいでしょう。

3に関しては、大胆にインスリンを導入することで、体内の糖代謝の状態を改善し、体内の糖の代謝状況を早期に改善することで、最終的にはインスリンを離脱させる目的に使います。

経口で使用可能な薬剤が増えてきていることと、インスリンへの忌避感が強いこともあって、インスリンの使用はなかなか進まない感じがします。一つのめどとしては経口剤3種類を最大限用いてもコントロールできない血糖はインスリン使用の対象と考えたほうがよいでしょう。

メタボリック症候群に属する疾患は、指摘をされる時期には自覚症状がないものがほとんどです。
当院は整形外科の患者さんも多く受診されますが、
運動器の疾患と内科疾患との大きな違いは自覚症状の出方だといつも強く感じてしまいます。

からだの痛みは強い自覚症状になりますのでみなさん我慢できずに早めに来院してくれます。おかげで腕や足が動かないとか大変なことになる前に治療の導入ができますので、大きな問題に至らない場合が多いように見えます。

内科疾患のほとんどは、ずいぶん重症にならないと症状が自覚できません。医学の発達のおかげで、症状が出る前に異常が分かることが大変多くなっています。例えば高血圧でも、血圧を測ればわかりますし、糖尿病や、慢性腎障害、脂質の異常などは血液検査で異常値がよくわかります。ほとんどが、指摘を受けたときには症状がなく、病気の意味を理解しないと放置してしまう可能性が高いように思います。
多くが生命に直接関係しますので重症化するとすぐそこに生命の危機がやってきます。

さて、糖尿病の場合は3つの大きな合併症があります。
1)腎機能障害(進行すると透析が必要)
2)目の障害(視神経・網膜の障害)
3)神経の障害(手足のしびれ)
これらは糖尿病の特徴である細い動脈の障害から派生するものです。血管障害は比較的大きな血管にも波及し、心筋梗塞や脳梗塞、あるいは足の動脈の閉塞から指を失ったりすることもあります。
それ以外にも、糖尿病はからだの免疫機能の低下をきたすため、感染への抵抗力が低下したりがんが発生しやすくなります。

これら重篤な症状が発生するころには後戻りできなくなっていることも多く、早期に生活習慣の子不整と薬剤治療を始めることが大変大切になります。

程度にもよりますが、まず可能であればメトホルミンやDPP4阻害剤から開始し、A1cや血糖値を随時測定しながら薬剤を増減していきます。
前述のように、3種類ないしは4種類の違った効果の内服薬を組み合わせても制御できない場合はどうしてもインスリンの使用が必要になります。

メタボリック症候群のような内臓慢性疾患の治療をする際に、長期化する治療を嫌い、治療開始をためらう患者さんにもよく出会いますが、早期の場合必ずしも一生の付き合いになるわけではないこと、またある程度進行している場合でも、真剣に向かい合えば服薬量を減らしたりもできることをお伝えするようにしています。
生活習慣と体質が深く絡んでいる疾患なので、変えていくことは難しいですが、できるだけしっかりと病気に向かい合っていただき、長くご自分のからだをつかっていただくために、われわれも患者さんに寄り添っていきたいように考えています。

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