MENU

ブログ

Blog

ながびく咳にお困りではありませんか


ながびく咳について~パート1~

コロナウイルスによるパンデミックのもとの生活している2021年の私たちにとって、呼吸器感染症は大変気がかりな症候群の筆頭に上がってきます。
一般に長引く咳は大まかに3つに分類されています。急性の感染症に伴う咳はおおむね3週間以内に解決するので(例外的に百日咳は3週間以上続くことがあります。)3週間以上継続し8週間以内のものを遷延性咳嗽(がいそう)と呼ぶことになっています。それより長く継続するものは慢性咳嗽と定義されています。
一般的な風邪などのいわゆる上気道感染は3週間以内に咳嗽が軽快すること、遷延性咳嗽の大半は感染性疾患(ウイルスや細菌による上気道の感染)に原因があること、8週間以上つづく慢性咳嗽の理由として感染症の占める割合は数%以下であることから、遷延性咳嗽に分類される咳は感染性疾患由来と考えてよいものです。つまり、慢性になればなるほど、感染症が原因であることは少なくなります。
慢性・遷延性咳嗽は本邦では全人口の6%が罹患するといわれています。リスクの因子としては肥満、降圧薬服用、胃食道逆流症、喫煙などがあげられており、特に喫煙に関しては現在、過去の喫煙をとわず慢性的な咳嗽の発症を3倍に上げることが報告されています。
海外の受診率は85%以上と高いのですが、本邦では40%以下と低率で、そのほとんどが治療に反応したり禁煙で治療可能なものと考えられるために、長引く咳の患者さんにいかに受診してもらうかが重要となっています。
ながびく乾性咳嗽(からぜき)の理由としては咳喘息、あとぴ^咳嗽、逆流性食道炎などの頻度が高く認められます。
ながびく湿性咳嗽(湿った咳)の理由としては、副鼻腔気管支症候群や喫煙が多く見られます。
百日咳感染後の咳嗽は長引く咳嗽の10%程度に認められます。
長引く咳の患者さんが来院された場合の検査としては、まず胸部レントゲン撮影があげられます。血液検査、痰の検査、呼吸機能検査などを施行します。
さきほど例に挙げたような疾患群が原因となるもので、診断がついた時点で原因疾患を治療します。なかには鑑別が付きにくい状況も存在し、気管支拡張薬やステロイド吸入薬を使用しながら診断する(診断的治療)こともあります。
咳が強いということで来院される患者さんは大変多いようにおもいます。強い咳が継続することで、つらいこともさることながら
癌などの器質的疾患を心配されて来院する方も多数おられます。
一般的に呼吸器感染症の後の咳嗽は3から4週間までは不自然ではないので、感染が先行している場合や軽快傾向のある場合は必要に応じて対症療法や検査をしながら経過観察していきます。
3から4週間の中でも咳嗽がまだまだピークアウトしていない場合は定型的肺炎、非定形肺炎、結核、ガンなどの感染症以外の拝病変を考慮して精査加療します。
肺炎のばあい、定型肺炎(細菌性肺炎)と非定型肺炎が存在します。
1) 急性の咳
急性の咳のほとんどは上気道感染です。基本的に3週間以上続くことはなく、特に8週間以上継続することは極めてまれで、その場合は単純な上気道感染(いわゆるかぜ症候群)以外も考慮して鑑別する必要があります。
a) 急性上気道炎、急性気管支炎
急性咳嗽の大半の原因を占める。80%以上ライノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、RSウイルスなどのウイルス性疾患である。急性気管支炎も同じ。時にマイコプラズマ、クラミジア、百日咳菌などが原因となる。
急性上気道炎は鼻水、咽頭痛をともない、通常咳は1週間以内に収まります。発熱はないこともあります。
急性気管支炎は発熱することが多く、咳や痰が長引くことも稀ではありません。
急性上気道炎の治療はウイルスが原因のため対症療法です。抗生物質の投与は高熱の持続、膿性の痰や鼻汁、扁桃の腫大・膿栓・白苔、中耳炎、副鼻腔炎の合併の際に考慮されます。
急性気管支炎も同様であるが、これも必要に応じて抗生剤を投与する。
b)マイコプラズマ
マイコプラズマは肺炎だけでなく、上気道炎・気管支炎の原因となります。潜伏期間は1から2週間で感染の初期は乾いた咳です。
3から4週で湿った咳になります。マイコプラズマのみで咳が8週間以上続くことはまれで、その場合には喘息などの別の疾患を併発していることを考えなければなりません。
早期診断は困難で2回間隔をあけて抗体価を測定して判断します(ペア血清)。咽頭ぬぐい液の抗原検査でも診断できるようになっています。
c)クラミジア
おもに肺炎を引き起こすが、上気道炎や気管支炎の原因菌にもなります。マイコプラズマより発熱症状は軽いことが多いです。こちらも診断はペア血清の検査が必要です。
d)百日咳
最近成人への感染が増えてきている感染症です。臨床的診断としては14日以上続く咳で、発作性の咳き込み、吸気性笛声、咳き込み後の嘔吐のいずれかがあれば診断できます。発症後4週間以上たっている場合は百日咳毒素IgG抗体を測定して判断できます。
b、c、dの治療は抗生物質(マクロライド系)によって行います。
e)細菌性肺炎
咳嗽以外にも発熱、膿性痰、全身倦怠感、食欲低下、胸痛など強めの症状を見せることが多いです。細菌の薬剤感受性が喀痰から調べることができればより的確な抗生物質の選択につながります。
喀痰検査をお願いします。
d)結核
長期にわたる咳や抗生物質が効かない場合、微熱が続く場合などに鑑別する必要があります。胸部レントゲン検査や喀痰検査が必要です。昔のようにツベルクリン反応を見ることはいまではありません。血液検査(T-spot)を行います。喀痰検査にて結核菌の背筋を認めた場合は結核病床がある施設への入院が必要になります。
2) 喘息・咳喘息による咳
喘息は発作性の呼吸困難を示し、咳やゼイゼイ音(喘鳴)が夜間や早朝に多く現れます。症状は自然に解消するか、治療によって解消するのが特徴です。痰や血液中の好酸球(白血球の種類のひとつ)の増加などが検査初見として見られます。呼吸機能の把握として呼吸機能検査(スパイロメトリー)などもよく行われます。
治療としては軽症の最初の段階から低用量の吸入ステロイドを用います。喘息の主体が末梢気道の持続的炎症であるので、それによる気道障害と引き続いて起こる気道構造の変形(リモデリング)を抑えることが重要です。
咳喘息は呼吸困難が伴わない咳だけが存在する、気管支ぜんそくの亜系です。呼吸機能は問題ないことが多く、気道の過敏性が軽度亢進している状態です。
咳は気管支喘息とよく似ており、夜間や早朝に見られます。季節性もあり、日によっても差があります。子供の場合は男児に、成人では女性に多く、風邪や、冷気、運動、天候、花粉、黄砂によって引き起こされます。確定診断は症状から行われることが多く、3週間以上続く喘鳴のない咳があって、気管支拡張剤が有効であることから行われます。
治療法は気管支喘息と同じで吸入ステロイドを用います。咳喘息の3割が典型的な喘息に移行するといわれており、きちんと治療することが望ましいと考えられています。
3)胃食道逆流症(GERD)
基本的には消化器疾患なので、胸やけ、つかえ感、苦みのある液体がのどまで上がってくる、げっぷ、腹が張るなどが主要な症状ではあるが、咳や声がれが主たる症状となって咳の治療ばかり行われてしまうことも結構あります。慢性的な咳の患者さんの多くはGERDをともなっているとの報告もあります。GERDは大変多彩な臨床症状をしめしますのでの詳細に関してはあらためて別に記載しようと思います。
50歳前後の女性に多く、背骨の変形、肥満、刺激物や酸の強い食物の摂取、あんこなどのこってりした甘みの摂取、アルコール、コーヒーなどの摂取にも影響を受けます。
そのほか、腹圧のかかる状態(便秘、衣類の締め付け、妊娠など)やストレス、喫煙、就寝前の食事、食べすぎも原因となります。発症機序によって、立位や覚醒時に咳が多く食道症状が少ないものや夜間横になってから咳がひどくなるものがあります。
GERDは咳を誘発し、咳はGERDを誘発します。悪循環を示します。
GERDによる咳はほかの慢性咳嗽の疾患とよく似ており、また併存することも多く、症状から疑えば検査結果を待たずに治療を開始(診断的治療)します。検査は上部消化管の形態や機能を見ることになるので胃カメラや食道内のpHモニタリングを行うことが望ましいですが、検査負担を考慮すると現実的ではないので
診断的治療が推奨されています。
診断的治療が選択されることが多いので、診断としては胃酸を抑制するPPIやH2ブロッカーという抗潰瘍薬の使用が先行し、それによって軽快する場合をGERDと診断しますが、一般的に軽快するまでに時間がかかることも多く、注意深く観察することが必要です。また、問診による診断も有用で当院でもFスケールという問診票を活用しております。
のどの違和感の強い場合は耳鼻科による診察が有効なこともあります。
生活上の注意としては、就寝前3時間の飲食を避けること、就寝中は頭を高くして寝ること、コーヒー・喫煙・アルコール・緑茶・香辛料・甘み・酸味を避けること、高脂肪食(胃からの食物の排出を遅らせるので)制限、腹圧の上昇を回避、ストレス回避、少量の牛乳を頻繁に飲むなどがあげられます。
4)副鼻腔炎・副鼻腔気管支症候群による咳
以前にアレルギー疾患にかかっていたり、家族にアレルギー疾患の方がいない場合、3週間以上継続する咳がある場合に最も疑われる疾患です。副鼻腔炎の患者の80%に後鼻漏(のどに鼻汁が垂れ込む)があり、その3から40%に咳がみられるとの報告もあります。副鼻腔気管支症候群は慢性的に上気道と下気道に白血球(好中球)による炎症を生じることです。副鼻腔炎に慢性気管支炎、気管支拡張症、びまん性細気管支炎などの疾患が合併した状況と考えられています。慢性的な気道の炎症で生じた痰による刺激が咳の誘因となると考えられます。

カテゴリー

最近の投稿

月別アーカイブ