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メタボリックな疾患 ~その1 脂質異常症


皆さんこんにちは。
以前に、特定健康診査のお話をいたしましたが、非常事態宣言解除後、当クリニックでも三々五々と患者さん方が受診してくださっているので、地域の健康を預かるものとしてはたいへんうれしいことです。

今回はメタボリックシンドロームのお話をしようと思います。なぜメタボリックの第一弾のお話を超コモンである高血圧にしなかったかというと

どうも毎日診療していて、脂質異常は、比較的患者さんが重要視しておられないような気がしてならなかったからです。

もともと、高コレステロール血症とか高脂血症などと呼ばれてていた脂質異常症ですが、いわゆる善玉コレステロール(HDL-C)が低値である場合も人体には脅威を与えるため、高脂血症という名前だけでは都合が悪いため、名称改定を受けたわけですが、どうも語感のインパクトが弱くなったような気がします。

もともと、自覚症状が出にくい疾患なので(逆にいえば、自覚症状が出るころには遅い!)漫然と治療している感覚に陥りやすく、場合によっては自己判断で治療をやめてしまうこともあります。

特定検診受診時に、脂質異常症の治療をする意味をよく知っていただくのが良いと思いますが、なかなか時間的な余裕もないので、今回は脂質異常症の治療意義をあらためてお伝えするつもりで書きました。

脂質異常症を治療しなければならない理由は、それが心筋梗塞や脳梗塞、閉塞性動脈硬化症などの動脈硬化性の疾患につながるからです。上記の疾患だけで総死亡率の約30%を占めています。


早期に治療を行うことで動脈硬化がひきおこす病気の予防が可能になります。また、適切に治療すると動脈硬化性の変化を改善することが可能です。放置するとどんどん動脈硬化は進行します。

特定検診や一般の検査で良く測定されているのがTG(中性脂肪)とHDL-C、LDL-Cです。
後者2つは善玉、悪玉コレステロールと呼ばれています。

いずれにしても、上記の脂質異常症が存在した場合は

① 現在の動脈硬化はどの程度か
② 治療をどうするか

が今後のケアを考えていくうえで重要になります。

① は血圧、
上下肢の血圧比(ABI)、
頸動脈エコー
でそれぞれ動脈硬化の現状を数値的、視覚的に評価するとよいでしょう。
ABIは半年に1回、頸動脈エコーは年1回程度が妥当と考えます。いずれも当院で施行可能です。

また、2次的な脂質異常症も数多く存在しています。例えば
肝機能障害、
甲状腺機能障害、
腎障害、
糖尿病、
飲酒、
ある種の膠原病、
利尿薬
降圧薬(β遮断薬)、
ステロイドなど
によって引き起こされるものが有名です。それらを意識しながら治療へと進みます。

② メタボリック症候群の治療の基本はいつでも
生活習慣と食事習慣の改善
がベースになりますが、私も以前LDL-Cが高くて運動と食事でトライしましたが無理でした。どうしてもきっちり下げていこうとすると薬剤の助けが必要になるようです。
もちろん、どんな治療でもそうですが生活改善なしに薬だけで治療しようとするとなかなか薬剤の効きがよくないので、必ず、食事制限や運動は必要です。

運動に関しては厚労省が提唱している
+10分運動
が取り入れやすいです。普段の生活の中で毎日10分余計に体を動かすことから始めようという試みで、体を動かすことが苦手な方でも無理なく運動負荷できると思います。

食事に関しては細かいことになると栄養士さんにかなわないですが、
卵や牛乳のとりすぎ(卵なら1日1個まで、牛乳なら1日コップ1杯までを目安に)
砂糖、炭水化物のとりすぎ
に注意することは外来でお伝えしています。
またトータルカロリーのコントロールとしては
手ばかり法
が簡単です。待合に掲示していますので来院時にご覧になってください。

治療は薬剤によるものがやはり中心になります。
LDLが高い場合、
LDLとTGが高い場合、
TGだけが高い場合、
HDLが低い場合
それぞれに選択する薬剤が異なります。
副作用としては肝障害と横紋筋融解症が有名で、定期的な血液検査でのフォローが必要ですので、嫌がらずに検査してください。
また妊娠中の女性にはスタチン(LDLを下げる薬)というお薬は催奇形性のため適さないので注意が必要です。
スタチンには糖尿病を増加させるとの報告もありますが1000人に一人程度ですので気にしすぎる必要はないと判断されています。

脂質異常症の予防効果としては、スタチンを用いた治療でLDLが約40低下すると、心臓の冠動脈(心臓の血管、つまると心筋梗塞をおこします)疾患は20%程度の減少、脳卒中は15%程度の抑制が認められます。

管理していくうえでの具体的な数値目標として、正常値を示します。
中性脂肪(TG)は150以下、
LDL-Cは140以下、
HDL-Cは40以上
です。
予防の目標としては、個人のもつリスクによってその目標値は変化します。
リスク設定は年齢や、性別、喫煙歴、高血圧や糖尿病の程度、家族歴などを加味したスコアによって決定されます。
TGの目標はすべてが150以下です。
LDL-Cでは
低リスクの場合のコントロール目標は160以下(検査上の正常値の上限を超えています!)
中リスクの場合は140、
高リスクの場合は120以下です。低リスクでも180以上のLDL-C値が続く場合は投薬を推奨されています。
疾患罹患後の2次的な予防は100以下ですが、冠動脈疾患のある場合はなんと70以下になります。
状況によってまちまちなので、注意してください。

当クリニックでは、外来受診の際にリスク確定のために、治療中の方にもリスク因子のおたずねを行っています。リスク決定は簡易法で主に行い、
5つの危険因子(喫煙、高血圧、低HDL-C血症、耐糖能異常、早発性冠動脈疾患家族歴)
をもとに年齢と男女差でリスクが決定されます。

以上、脂質異常症の診療概略を書かせていただきました。

当クリニックではできるだけ、ガイドラインに準拠した形で皆様へ医療を提供できるよう心がけています。大病院へ行かなくても、大阪市内に行かなくても身近な場所で日本標準の治療が提供できるよう常に心がけています。

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